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「…さーん、…さん!起きてください!」
優し気な少女の声が耳に届く。その声が心地よくて、また眠ってしまいそうになる。
「だから、起きてください!」
うーん、頭が重い…。とはいえ、ずっと眠っているわけにもいかないので、目を開く。
しかし、目を開いても、そこはまだ暗闇であった。


「…?ここはどこだ?」


そこで自分の記憶をたどってみるが、直前の記憶といえば、大学の授業準備に英文と格闘していたことである。
そのまま自分の部屋で寝たのかもしれないが、でも今この場所の椅子は僕の部屋のものよりふかふかしている…。
つまり僕は、起きたら自分の部屋ではないどこかにいたということになる。…まさか、拉致監禁か!?
などとよく分からない思考に走っていると…。

「やっと起きましたね。プロデューサーさん、もしかして結構疲れてます?」
また、少女の声がする。暗くて顔はよく見えないが、なんだか聞き覚えのあるような気がする…。

そして、「プロデューサーさん」とはどういうことだ?僕はしがないただの大学生だぞ?

ん?でも、前にどこかでそんな風に呼ばれていたことがあったような、ないような…?

 

あー、あたまがごちゃごちゃする!その勢いで、僕はその少女に質問を投げかけてみた。

「…ねぇ、君。ここはどこなんだい?そんでもって、君は誰なんだい?」

すると、少女は少々思案したのちに、
「それは、多分プロデューサーさん自身がよく知ってるはずですよ?よーく、思い出してみてください」
と言って、1枚の紙とペンライトを差し出してきた。
ペンライトで紙を照らしてみてみると、何やら広告と四角形が書かれたものであることが分かった。

プロローグ

戸惑っていると、

「これをもって、後ろの扉からそれぞれの部屋に行ってみてください。全部の部屋を巡ってみれば、ここがどこなのかわかると思います。」

言われて後ろの扉を照らすと、なるほど10個の扉が僕の眼前に現れた。それぞれ書いてある文字が違う…。

ここでこうしていても仕方ない。僕はとりあえず「ARRIVE」と書かれた1つの扉をくぐってみた。

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